最近、マウスピース矯正が盛んです。マウスピース矯正で8か月でこんなにきれいに治りましたとか、6か月でこんなにきれいに治りましたとか、見たことがある方も多いのではないでしょうか?
基本的に、現在のマウスピース矯正と、私たちがやっているワイヤー中心の矯正治療は別の治療です。
マウスピース矯正は丸っこい歯に出し入れできるマウスピースを入れて、傾斜移動という歯の移動方法で歯を並べます。
一方で、私たちが行っているワイヤー矯正は、歯体移動という方法で歯を並べます。


上の図で、白い部分だけが口の中で見える部分です。歯の頭(歯冠)だけ見れば並んでいるように見えますが、歯の根(歯根)の方向はバラバラで、強い噛む力に負けやすくなります。
歯の根(歯根)は建物に例えれば柱です。基本的にかかる力に対してまっすぐな方向に並んでいなければいけません。だから歯を支える歯根も、真っすぐでなければいけないのです。だから、傾斜移動中心で歯を並べるマウスピース矯正は、あくまで見た目だけを直すことを目的としています。一方で、歯と歯を支える歯周組織(歯槽骨と歯肉)は生きて、毎日使っているものですから、無理のある形で移動した歯は早く元に戻ろうとします。また、あまり極端に早く移動した歯は、歯の横から力がかかって、歯を支える歯周組織を痛め、場合によっては壊します。かみ合わせは生まれてから10数年以上かけてゆっくりと完成する精密機械です。どうして数か月程度の歯の傾斜移動で、長い目で見た歯の健康が守れるでしょうか?長持ちする歯並び、かみ合わせができるでしょうか。無理があります。私はとても無理があると思います。
私たちの矯正治療はいわゆるマウスピース矯正の治療よりも長引くのは、歯を支える歯根の方向もコントロールしようとしていることも大きな一因です(歯根のパラレリングといいます。マウスピース矯正で歯を動かすことを提供している人は、そんな言葉も知らない人も多いと思います)(日本矯正歯科学会の認定医の先生で、本当に一部の先生は、マウスピース矯正に工夫をして、歯体移動に近づけようと努力していますが、それでもマウスピースは口に患者さんが出し入れするので、遊びの分だけコントロールは難しく、ワイヤー矯正とは比較になりません)。
矯正治療でかみ合わせを直すということは、短い期間で歯冠の見た目だけを良くすればいいものではないのです。
みなさんは、良い見る目をもって、矯正歯科と矯正をする歯科医を選んでください。私は自分が立派な歯科医だとは思いませんが、いい加減なことはしたくない歯科医でいようと常に思っています。逆にいかにもそれっぽいことを言って、いい加減なマウスピース矯正をしている人は世の中にたくさんいます。老婆心ながらセカンドオピニオンを大切に。