矯正治療はきれいになればいいだけではありません!

 矯正治療を行えば一般に歯並びはきれいになります。でも、私はきれいな歯並びのために矯正治療をやりましょうとは言っていません。
矯正治療の目的は、最終的には大人の歯になってから歯を長持ちさせることが一番だと考えているためだからです。もちろん矯正治療では、大人の矯正治療の場合、やむを得ず永久歯を抜くこともありますが、それは抜いた後に矯正治療をしてから歯を長持ちさせたい場合です。
歯を長持ちさせることが目的の矯正治療で、どうして歯の寿命が延びるのかといえば、まず第一に歯がきれいになりやすくなるということがあります。でこぼこした歯並びはまず歯磨きがしにくく、汚れが落ちにくいのです。1日10分20分の歯磨きでも、1年間に何千分、10年間で何万分の歯磨きの時間になります。子供のころから歯磨きがしやすい歯並びと、歯磨きがしにくい歯並びでは、年を取ってから大きな差になって出てきます。また、良い歯並びは食べ物の自浄作用が良く働きます。きれいな歯並びと歯の形はよくできていて、自然な食べ物をたくさん噛んでいることで、食べ物自体が歯の上を流れ、こすることで、歯をきれいにしてくれるようにできています(これを自浄作用といいます)。
1日人間は何千回も食べ物を噛みますが、やはり歯磨き同様に、良い歯並びは歯をきれいにしてくれて、歯を長持ちさせる役に立つのです。
 もう一つ大切なことは噛む力の分散です。人が物を噛むときの力は強く、数十キロくらいの力は簡単にかかります。それを口は毎回の食事で負担しますが、かみ合わせが悪い人はどうしても噛む力が偏ります。どうしてかといえば、噛み合わせが悪いこととは、すなわち歯が上下で均等に当たらないことを意味するからです。あちらの歯にはすごく力がかかるがこちらの歯には力があまり、もしくは全然かからないという状態、それがすなわちかみ合わせが悪いということです。人間の体は使いすぎても使わな過ぎても長い目で見れば壊れやすくなります。だから若いころから良い咬み合わせで均等に噛む力を食事の時にいろいろな歯に与えることができることがとても大切なのです。
 矯正治療は命には関わらないかもしれません。しかし、歯の寿命には関わります。あまり年齢が進んでくると矯正治療で歯を動かすこと自体が難しくなりますので、咬み合わせが何らかの理由で気になる、あるいはどこかで指摘されたという方は、適当な時期に矯正治療も検討すると良いと思います