50の手習い(社会人大学院の学生やっています)
私が新潟大学歯学部を卒業したのは平成2年3月で、今から25年前になります。当時、歯学部の大学院、特に
花田晃治先生の矯正学教室の入局希望者は10名を超えていて、医局に残ること自体難しいことでした。
その中でも正規の大学院は2名しか入局を許されず、大変に狭き門でした。
大学院の学生は、将来医局を背負っていくはずの(?)優秀な学生が残り、いろいろな研究を行うための良い環境
が与えられ、研究のための指導教官がしっかりついて、研究について教えてくれます。これは勉強の仕方や研究の
仕方を覚えるという意味で、大変貴重な立場で、研究生という立場で入局を許された私や他の大学院志望だった
医局員は、希望通りに大学院に入れた同期の人を羨ましく思ったものです。
そんな日から20年経過した数年前、勉強の仕方や研究の仕方、論文の検索の仕方などが自分に足りないと痛切に
感じ、新たに大学院に入り、研究の仕方を覚えたいと考えるようになりました。幸いその頃、新潟大学歯学部には
社会人大学院制度というものができ、社会人になってからでも大学院に入学することが可能になりました。そのような
ことで、新潟大学歯学部の社会人大学院に入学させていただき、口腔再建外科に籍を置かせていただいてから、もう
3年半が経過し、現在4年生の後半にさしかかるところです。
歯科医院の院長をしながら大学院の学生をやるのは、思った以上に大変だったと身にしみる毎日です。
私が現在行っている研究は、歯の移植の予後を予測することが可能かどうか?という研究です。
歯の移植は、言ってみれば臓器移植の一つで、歯がなくなった場所、あるいは抜かざるを得なくなった歯のある
場所に、他の部位から歯を抜歯してきて、そこに移植し、咀嚼する機能を改善しようではないか、という治療です。
自分の歯の再利用できるができるという意味では大変有用で、上手に機能すればすばらしい治療の一つ治療ですが、
必ずしも100%の成功率がある治療ではありません。失敗もあります。
では、どんな場合に失敗するのだろう?という研究を、新潟大学歯学部の口腔再建外科ではずっと続けています。
私はその研究の流れの中で、Validation studyという、今までの研究成果の正しさを確認する研究を行っています。
とはいうものの、統計や歯の移植など、わからないことがまだまだ沢山ある中での研究で、指導教官の先生方には
本当にご迷惑をおかけしながらの仕事となっております。あまり優秀とは言えない学生はつらいです。
しかし、おそらく自分の人生の中で、いわゆる大学の中で教えを請うという文字通りアカデミックな分野で、何集中して
研究、勉強をするのは、これが最後になるでしょう。私の学生生活の締めくくりだと思っています。
あと半年、後悔のないようで頑張れればと思います。(2015-9-1)