床矯正の宣伝活動について思うこと
矯正治療にはいろいろな装置があります。基本的には、生体に無理のない力かつ、
生体に影響を与えうる力を加えて、生体の形や成長方向を良い方向に導くというのが、
矯正治療で用いられる装置の要件です。
最近、床矯正という装置をやたらと前面に押し出して、床矯正による治療のすばらしさ
みたいな事をいう人たちがいます。私たち矯正専門で歯科治療をおこなっている人間
たちにとってみれば、床矯正の素晴らしさを強く語る姿は奇妙な光景です。
矯正装置はしょせん力を与える器具にすぎません。言って見れば料理をする時の包丁の
一つに過ぎません。私も床矯正装置を使います。でも、それは別に床矯正装置が素晴らしい
装置だからではなくて、床矯正装置が適していると判断したケースだから、たまたま使うに
過ぎません。野菜を料理するから菜っ切り包丁を使うようなものです。それはもちろん菜っ切り包丁
は役に立ちます。場合によっては野菜ばかりではなくて、パンや魚も切れるでしょう。でも、だから
どうというものでもありません。出刃包丁だって、アジ切り包丁だって刺身包丁だってあるのです。
何も、菜っ切り包丁のみですべての料理を調理しようとする必要はないのです。
コメントするのもどうかと言った話なのですが、歯を動かす治療について、床矯正という装置がどうやら
本当に素晴らしい治療らしいという誤解があるのも気持ちが悪いので、立場上、コメントいたしました。
もちろん、床矯正装置は歯を動かす治療のひとつであるのは確かなのですよ。
ただ、それが一番良いとかなんとか言うのはつまらない話なのです。
超高性能菜っ切り包丁など、別になくてもいいのです。他の包丁を使えればそれでいいのですから。